ご利用者さまの作品をご紹介します!

京都市東山区を拠点に活動している結ノ歩訪問看護ステーション東山です。

今回はご利用者様の素敵な作品をご紹介したいと思います。

 

今回ご紹介させていただく方は、外に出る機会が減り、気持ちも沈みがちな事が多くなってきたことをご家族様が大変心配されていました。そんな中、ご本人は余暇活動への意欲も中々起こらず「動かないといけないとは思うが、どうしたらいいのかわからない。もうしんどいからいい。」とお困りの様子でした。

支援にあたり数回に分けてこれまでの人生のお話や辛かったこと楽しかったことなど、ありのままのお話をお伺いしました。

その中で、以前お花の先生をしていたというお話の中で、楽しかった・嬉しかったなどの感情が垣間見える瞬間がありました。

そこで私は、お花に触れるというきっかけが良い効果を生むのではないか、と考えてお花を一緒に生けることにしました。

初めは困惑されたご様子もありましたが、時間の経過と共に表情が和らぎ、声も張りが出てきて大変喜んでおられました。

お花を生けた後には、ご家族様と共に鑑賞会を行い、感想を述べ合うという機会を持つことができました。

また、生けたお花を飾る場所を探して家の中をたくさん歩きました。

このような活発なご様子は、これまでの関わりの中で見たことがありませんでした。

 

鑑賞会でご本人は

「小さなお花もこんなに頑張って咲いてるんだから、私も頑張らないとね。ちょっとがんばれそう。」

とぽつりと話されました。

これまでの私の関わりの中では、ご自身を否定的な言葉で表すことが多い状況でしたが、初めて自身の存在を肯定的に表現されたところを拝見することができました。

ご家族様の後日談では、その後も日常的にお花の片付けをしたり、玄関の掃除をされたりと活動的になられる事が増えたという事でした。

 

 

お花を通して自らのことを語り、それを意味づけしていくこと。

それによって自身の存在を肯定的に捉えられたというエピソードでした。

看護学には、教育学や心理学から派生した”ナラティヴ”という言葉があります。

ナラティヴという言葉は、物語・語りという意味で用いられます。その語りとは、単に語られた言葉・内容・語り口など音声や文字で表されるものだけではなく、身振りや表情など非言語的なものもいいます。看護師は、対象者の経験する出来事に関して意味づけをしていく作業を手助けすることを行います。

このご利用者さまの生け花を通したエピソードは、まさにナラティブという作業だったのではないかと思います。

生け花という経験のナラティブ(語り)を通して、「こんな小さな花も頑張ってるんだから、私もがんばらないとね。」という自身のポジティブな感情に気づき前向きに捉えることができた、というナラティブの実際があったのだと思います。

 

このエピソードから私は、”その方のお話をありのまま聞く”ということがとても大切なことだと改めて痛感しました。自身の語りの中に希望を見出して一歩踏み出す、そういうおもいをつなぐ看護を目指したいとも思いました。

今後もご利用者さまに寄り添ったケアができるよう、その場を大切に丁寧にご利用者さまのお話をお伺いしていきます。

 

 

 

文責 田中航太

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